旬の特集
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文書作成日:2023/03/23

 近年、生活のさまざまな場面で、キャッシュレス決済が普及し、現金をあまり利用しないという人も増えています。このような動きに合わせて、2023 年4 月以降、従業員への給与の支払いについても〇〇ペイといった資金移動業者の口座に支払うことができるようになります。その内容を確認しましょう。

 会社が従業員に支払う給与(賃金)は「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と労働基準法で規定されています。その例外として、従業員から個別に同意を得て、従業員が指定する本人名義の預貯金口座や証券総合口座に振り込むことが認められています。
 今回、賃金のデジタル払いのスタートにより、賃金の支払い方(従業員にとっての賃金の受け取り方)の選択肢が増えることになります。なお、従業員が希望しない場合は、賃金のデジタル払いを実施することはできません。また、会社に賃金のデジタル払いを強制するものでもありません。

 賃金のデジタル払いとは、賃金を現金で支払ったり、預貯金口座等に振り込んだりする方法ではなく、資金移動業者の口座へ資金(賃金)を移動することをいいます。この資金移動業者とは、銀行等以外が為替取引を業として行うものであり、金融庁への登録が必要とされています。「〇〇ペイ」というような名称でサービスを展開しているところが多く、2023 年1 月31日時点で83の事業者が登録を行っています。
 資金移動業者がデジタル払いに対応する場合には、2023年4月1日より厚生労働大臣に指定申請を行い、厚生労働省で審査を受けることになります。この指定を受けるためには、以下のようないくつかの要件が設けられており、審査には数ヶ月かかる見込みですので、実際にデジタル払いがスタートするのは夏以降となりそうです。
  1. 破綻などにより口座残高の受け取りが困難となったときに、労働者に口座残高の全額を速やかに弁済することができることを保証する仕組みを有していること。
  2. ATMを利用すること等により、通貨で、1円単位で賃金の受け取りができ、かつ、少なくとも毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金の受け取りができる措置を講じていること。

 賃金のデジタル払いを導入する際は、以下のような流れになります。※図はクリックで拡大されます。

 2023年4月1日以降、資金移動業者が厚生労働大臣の指定を受け、従業員がその資金移動業者を口座として指定します。その際、会社は従業員が指定した資金移動業者が厚生労働大臣の指定を受けているか確認する必要があります。
 その後、実際に賃金のデジタル払いを行うためには、従業員の過半数代表者等と、口座振込み(資金移動業者の講座への賃金の資金移動も含む)等の対象となる従業員の範囲等の一定の事項について労使協定を締結します。そして、賃金のデジタル払いを希望する従業員に対し、賃金のデジタル払いに関する留意事項を説明した上で、個別に従業員の同意を得る必要があります。 

 この留意事項の主なものとしては、以下の点があります。なお、留意事項および同意書の様式例は厚生労働省から公開されています。
  • 受け取り額の設定
     資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払や送金に用いるためのものになるため、この点を理解した上で、支払などに使う見込みのある額を受け取るようにする。受け取り額は、1日あたりの払出上限額以下の額とする必要がある。
  • 上限額に対する認識
     口座の上限額は100万円以下に設定されており、この上限額を超えた場合、あらかじめ従業員が指定した銀行口座に自動的に出金される。この際の手数料は従業員の負担となる可能性があるため、資金移動業者に確認する。
  • 払出期限に対する理解
     最後の入出金日から少なくとも10年間は、資金移動業者への申し出などにより払い戻しが可能。


 賃金のデジタル払いを行う際には、会社の方でもこれらの内容を理解した上で進める必要があります。まずは、従業員が賃金をデジタル払いで受け取ることを希望しているか、会社が資金移動業者へ支払う手数料がどの程度か、手続きの手間がどの程度になるか等の事項をもとに、会社としての対応方針を検討しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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