会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2022/07/14


 坂本工業では、長時間労働となっている従業員が一部存在しており、過重労働になっていることを心配していた。就業規則に長時間労働者に対する医師の面接指導(以下、「面接指導」という)を定めていることから、この内容について社労士に相談することにした。

 今日は、面接指導について相談したいと思っています。当社では、長時間労働になっている従業員が一部おり、職場で業務量等を調整し、勤務時間が長くならないように対策をとっていますが、実際には人手不足の状況もあって、なかなか効果が出ていません。従業員の健康面も心配なため、一度、医師に診てもらった方がよいのではないかと考えています。

 なるほど。ちなみに残業(時間外・休日労働)時間はどの程度になっていますか?

 直近の2ヶ月は残業時間が80時間前後あり、今月もまだ月の半ばですが、すでに30時間ほどの残業を行っています。

 確かにかなり負荷がかかっている状態ですね。面接指導は、労働安全衛生法において義務化されているものであり、就業規則に規定されたのだと思いますが、原則として、残業時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人が対象となります。

 「疲労の蓄積が認められる人」とは、どのような人でしょうか?

 平たく表現すると「疲れたので面接指導を受けたいです」と申し出ている従業員のことを指します。残業時間が月80時間を超えると、従業員に速やかに超えた時間数を通知する必要がありますが、実務としては60時間程度で時間数と疲労の蓄積具合を確認するような仕組みを取り入れたいところです。

 なるほど。就業規則に規定してはいるものの、実際いままでに、申し出をしてきた従業員はいないので、なかなか運用としてうまく回っていませんでした。残業時間が月80時間を超えているような従業員は健康面が心配なため、本音としては本人の申出にかかわらず面接指導を受けてもらいたいと思います。

 他社では、残業時間が月80時間を超えた場合には全員、面接指導を受けてもらうという運用をしているところもあります。従業員からの申し出を待つのみでなく、会社で定めた基準に該当すれば、「業務として」面接指導を受ける指示を出す取扱いです。

 そのような運用をイメージしていました。当社でも検討してみます。

 その他、面接指導をする医師(例えば産業医)が来社する日時を伝え、そこで面接指導を受けられることを周知するという方法も考えられます。

 当社でも1ヶ月に1回、産業医の先生がお見えになり、面接指導の時間も取ってもらえるような契約になっているので、産業医の先生にも相談のうえ、周知してみます。

 念のための確認ですが、「残業時間が月80時間を超える」とは、残業代を支払う際に用いる時間外・休日労働時間数の合計と考えてよいでしょうか?

 この面接指導のための残業時間数の計算方法は決まっており、以下の式で計算します。
[1ヶ月の時間外・休日労働時間数=1ヶ月の総労働時間数−(計算期間1ヶ月の総暦日数/7)×40]
 そのため、残業代を支払う際に用いる時間外・休日労働時間数の合計とは異なります。

 独自の計算をするのですね

 そのほか、対象となる従業員には、残業代の支払いの対象外である管理監督者も含まれていることに注意が必要です。

 たしかに、管理監督者の方が長時間労働になっているケースが多いように思います。管理監督者についてはタイムカードの記録をとっていませんが、とった方がよいでしょうか?

 タイムカードを用いて記録する方法に限りませんが、客観的な方法その他適切な方法で、労働時間の状況を把握することが必要となっています。健康管理を行うために、管理監督者についてもタイムカードに記録を残してもらうという方法も考えられます。

 管理監督者も含めて、会社で定めた基準に該当する人には面接指導を受けてもらい、過重労働の防止につなげていきたいと思います。

>>次回に続く



 「忙しいから面接指導を受けている時間が取れない」という従業員もいると思われます。その主張も当然なのですが、疲労の蓄積やストレスを自覚していないこともあるので、面接指導を受けることで自分の健康を振り返る機会につなげるよう伝えたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/000496135.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。






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